結果発表(2014/10/01発表）

	■ 総評 ■ 今回は7,000点を超える作品が集まりました。何より驚いたのは、作品のジャンルが多岐にわたっていたことです。若者たちの間で主流となりつつある演出作品、画像処理を施したデジタルアート作品なども数多く寄せられました。 まずは3日間かけて500点に絞りましたが、その時点でかなり作品のレベルが高かったので、そこからさらに100点、50点と選び抜いていく作業はとても大変でした。 賞に輝いた12作品には、どれも物語性が潜んでいます。それが作品の「力」となり、観る人の心を魅了するのでしょう。 近年、スマートフォンやアクションカメラで作品を生み出す人も多くなり、写真表現の世界は多様化しています。これからも色々な機材を使い、撮ることを楽しみながらシャッターを押してみてください。

グランプリ １ 名　賞金 30 万円

	作品No.： 26478 作品名：暗唱 撮影者：永島　徹郎様 ● 作者コメント ● コンクール前の少女と付添う祖母

	■ 講評 ■
	ピアノ発表会の舞台裏をとらえたスナップ写真です。緊張と不安がおりまじった2人の女性の心の内が、この作品からストレートに伝わってきます。室内のやわらかな光によってドレスがひときわ美しく輝いている点も目を引きました。あらゆる面で完成度の高い、グランプリに相応しい作品です。

準グランプリ　１名

	作品No.： 19362 作品名：スポットライト 撮影者：中村洋一 様 ● 作者コメント ● 子ども同士の見つめあい

	■ 講評 ■
	この作品と接したとき、シャドー部で構成された大胆な構図に驚きました。一匹の子羊だけにスポットライトが当たっているので、まるで舞台で演じられる劇を観ているような臨場感が伝わってきます。興味津々で闇を覗く子どもの表情も素晴らしいです。

入選作品

	作品No.： 18657 作品名： accident 撮影者：吉山彰彦 様 ● 作者コメント ● 自宅から近い場所で火事があった。 めったにないことで、怖かった。

	■ 講評 ■
	夜に起こった火事の現場を撮影したものですが、何故かこの作品からはゆったりとした時の流れを感じます。報道写真ではなく、芸術写真としたところに作者の拘りがあるのかもしれません。写真家、ジョエル・スタンフェルドの作品を彷彿とさせます。

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	作品No.： 21651 作品名： 渓流から見た風景 撮影者：池田新一 様 ● 作者コメント ● 段差から流れ落ちる水しぶきを入れて鯉のぼりを撮影した。

	■ 講評 ■
	水飛沫を氷の彫刻のようにとらえ、静かな春の風景をドラマチックに変えています。アクションカメラによる表現の可能性を最大限に引き出した作品といえるでしょう。ここに人や魚などもう一つの要素が加われば、さらに面白さが増したと思います。

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	作品No.： 23776 作品名：パラダイス 撮影者：福田尚人 様 ● 作者コメント ●

	■ 講評 ■
	この作品が日本絵画のように見えるのは、チャボとチューリップを組み合わせて撮っているからでしょう。羽の動きと空を流れる白い雲が共鳴し合い、春のさわやかな風を感じる作品に仕上がっています。少し右下がりにしたアングルも見事です。

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	作品No.： 24118 作品名：ヨットハーバー 撮影者：海野　弘剛 様 ● 作者コメント ● 360度パノラマ写真を極座標変換した作品

	■ 講評 ■
	特殊な表現ができる機材を使うと、被写体選びがおろそかになってくるのが普通です。しかしこの作品は、観覧車、ヨット、水辺で遊ぶ人など絵になる被写体をセレクトし、画面の隅々まで丁寧に絵作りしていることがわかります。作者の職人魂を感じました。

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	作品No.： 24919 作品名：餌場に殺到する ハシボソミズナギドリ 撮影者：井上大介 様 ● 作者コメント ● オーストラリア南部のタスマニアから、毎夏、羅臼沖に集まるハシボソミズナギドリ。この時期に大発生するオキアミを目当てに、沖鳥もまた超大群で集結している。

	■ 講評 ■
	「音」を感じる作品です。一瞬を切り取るという写真の醍醐味が、この一枚に凝縮されているような気がしました。空の部分を大胆にカットして奥行き感を出した構図も素晴らしい。タイトルが説明調になっているので、もうひと工夫欲しかったです。

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	作品No.： 25118 作品名：想い 撮影者：大西 正 様 ● 作者コメント ● 早朝教会にて

	■ 講評 ■
	聖なる場所とシスターの心の繋がりを描いており、観る側の心にグッと迫ってくるものがあります。構図の決め方、露出の扱い方は完璧で、作者は高度な撮影技術を持っている方だと推測します。 グランプリを競えるレベルの作品に仕上がっていると思います。

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	作品No.： 25159 作品名：シーサーの吐息 撮影者：小野　真 様 ● 作者コメント ● シーサーの吐息が線香の煙を揺らしています。照明にはカラーLEDを使用しました。

	■ 講評 ■
	蚊取線香の煙を被写体として選んだチャレンジ精神を大いに評価します。特殊なテクニックによって煙を色づけしているので、アート性の高い作品に仕上がりました。表情が個性的な置物に少し違和感を覚えます。煙だけでもよかったかもしれません。

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	作品No.： 25191 作品名： 夕日を背に 撮影者：村山哲哉 様 ● 作者コメント ● 夕暮れ時、近所の公園で元気に遊ぶうちの娘を撮影。ドラマチックな風景は以外と近所にあるものです。

	■ 講評 ■
	夕陽をテーマにした作品はたくさん集まりましたが、最も目を引いたのがこの一枚でした。構図とシャッターチャンスが素晴らしい。しかし、すべてがシルエットだと面白さが半減します。ストロボを光らせ、子どもの表情をとらえてもよかったでしょう。

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	作品No.： 23350 作品名： 男子とトラクター 撮影者：藤田真美 様 ● 作者コメント ● 男子にしか分からない世界があると思う

	■ 講評 ■
	ゲームに夢中になる子どもたちをとらえた何気ないスナップ作品ですが、赤いトラクターを丸ごと一台写しこむことにより、田舎の雰囲気を伝えることに成功しています。周辺部をハイライトで飛ばし、夢のような世界を作り出した点も高く評価します。

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	作品No.： 25373 作品名： 愛しむ 撮影者：岩本美和子 様 ● 作者コメント ● 友人最後の出産であるマタニティフォト。 私は彼女に伝えました。 「愛しむ」を心に、お腹の子とゆったりした時間を感じて。 私はその非日常的な身体に対してシャッターを切ります。

	■ 講評 ■
	スタジオで撮影したものでしょうか。妊婦の幸せそうな姿を自然体で切り取り、生きる喜びを伝えています。体の美しさを強調するライティングも素晴らしい。モノクロームの写真表現の豊かさを教えてくれる優れたポートレート作品です。

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審査員（ 講評 ）・写真家　吉村 和敏　Kazutoshi Yoshimura

1967年、長野県松本市生まれ。カナダ暮らしをきっかけに写真家になる。現在、東京を拠点に世界各国、国内各地を巡る旅を続けなが ら、意欲的な撮影活動を行っている。2003年、カナダメディア賞大賞受賞。写真集に『PASTORAL』（日本カメラ社）、『BLUE MOMENT 』（小学館）、『「フランスの美しい村」全踏破の旅』（講談社）、『カスタム・ドクター』（ノストロ・ボスコ）、『Shinshu』（ 信濃毎日新聞社）などがある。